旅の空から#3 夏、福井・若狭編

御一行様、若狭へ

旅の目的地は母の故郷である福井県若狭。子どもの頃は毎年夏に連れて行ってもらった。僕も子ども達を連れてよく行った。今回は8年ぶりの若狭、夏の家族旅行だ。88歳の母を含めて総勢6人、旅の無事を祈る。

敦賀

9時20分東京発、12時43分敦賀着、かがやき507号。念願の北陸新幹線だ。実は東海道新幹線から米原経由の方が早いのだが、乗ってみたかったのだ。乗り換えが無いのはやはり快適だ。

ここからレンタカーを借りて、最終目的地、若狭・おおい町を目指す。敦賀からローカル線の小浜線に乗るのが鉄旅としては理想的だし、子どもの頃の夏休みを思い出すには小浜線が欠かせないと思ったが、今回は乗り継ぎ時間や現地での移動など、様々考慮した結果だ。

若狭

おおい町

小浜線なら、若狭本郷駅が最寄りだ。佐分利川を挟んで水田が広がり、谷沿いに集落が点在する。以前は必ず親戚が所有する茅葺きの古民家を借りて過ごすのが常だったが、今は叶わず、別棟に宿泊させてもらった。それでも茅葺きの古民家や田園風景は変わっておらずそこにあり、何もかもが懐かして嬉しい。

おおい町には海もある。お気に入りは”あかぐり海釣り公園”だ。釣りはまったくの素人だが、竿をレンタルできるので、遊びには十分だ。すっかり大人になった息子達が小学生の頃と変わらず今日も楽しそうだ。小アジや、小さいがイシダイも釣れる。もちろん、本格的な釣り師もいて、大きな獲物を狙っている。

小浜(おばま)

かつて豊富に獲れた鯖を京都に運んだ鯖街道。その起点の港町が小浜だ。若狭といえば小浜といっていい。

小浜西組

小浜西組は古い街並みの保存地区で、NHK朝ドラの舞台にもなった町だ。かつての花街にタイムスリップしたかのような風情。古い建物を生かしてリノベーションした素敵な旅館もある。いずれは泊まってみたい。

いけす割烹・雅

小浜西組から歩いてすぐ、小浜湾に面した店構えの老舗料理屋さんで夕食。

若狭ぐじ(甘鯛)、鯛、岩ガキ、オコゼ、鰻、鯖、若狭の美味しいものをたくさん出していただいた。どれも絶品。お酒も進む。この旅一番の贅沢だったが、ここにしてよかった。ご馳走様でした。

熊川宿

小浜を起点に京都へ続く鯖街道、最初の宿場が熊川宿だ。昔一度訪ねた記憶があるが、当時と違って、古い宿場の街並みをそのままに、飲食店が増えたようだ。馬籠も良いが、ここの街並みも素晴らしいし、観光客が多くなくて、とても落ち着く。

帰路へ

紹介が遅れたが、今夏の旅で力になってくれたのが、レンタカー、トヨタ・ノアだ。6人を載せる3列シート、新しいモデルのようで、機能も最新、とても快適だった。ありがとう。

三方五湖

敦賀へ戻る途中、若狭上中からレインボーラインを抜けて、ケーブルカーで山頂公園へ。あいにくの霧で三方五湖の眺めは薄っすら。残念。しかし、かつては三方出身の歌手、五木ひろしの記念碑くらいしか無かった山頂公園は昔と一変。カフェとたくさんのテラス席が設けられている。五木ひろしを知らないだろう若者で賑わっていた。天気の良い日にまた来たい。

かがやき514号、東京へ

17:13敦賀発。定刻どおり、帰路へ。3泊4日の旅は終わり。お疲れ様でした。

最後に、88歳の母との電車旅行で思うこと。母は一人で歩くが、歳のせいで階段の昇り降りが苦手だ。新宿駅も東京駅もエレベーターは必ずあるものの、ホームの端に一つだけ。遠回りすることになるので、せっかく階段、エスカレーターを避けても、歩行距離は3倍以上になる。既存の駅をバリアフリーにするのはとても難しいのだろう。また、平日に移動してしまったため、通勤電車では優先席を一つ譲っていただく必要があった。しかし、母が優先席の側にに立っても、すぐに席を譲ってくれる人は少なかった。もちろん、ハンディキャップは見た目から必ずわかる訳ではないが。社会の厳しさを感じた。自分もあと30年長生きしたらこうなるのだと痛感もした。空いているであろう各駅停車に乗るべきだったか。それでも、気づいて譲ってくれた方、我々の代わりに席を譲るように促してくれた親切心あふれる方、本当にありがとうござしました。感謝の気持ちとともに、今夏の家族旅行が終わりました。

コメント