旅の空から#4 秋/安芸、尾道・宮島・広島・岩国編

今年も短い秋になりそうで、週末に有給休暇を加えて、妻と3泊4日の旅に出ることにしました。この歳になっても、まだ行ったことのない場所がたくさんあります。今年の目的地は、その中から広島を選択。とくに宮島、厳島神社は念願の地だ。さらに、尾道と岩国を加えたので、ちょっと欲張ったかもしれませんが、楽しみです。それでは、行ってきます。

一日目: 尾道へ

陸路、尾道へ

6:33東京発、博多行きのぞみ5号。JR西日本所有車両のため、車内メロディは「いい日旅立ち」だ。岡山でこだま843号に乗り換えて、新尾道へ。ホテルは尾道駅前だから、新尾道からはタクシーを使う予定だ。新尾道、10:23着。しかし、なんと、駅前にタクシーが一台もいない。新幹線駅とは思えないほど閑散としているではないか。

ネットで調べてタクシーを呼んだ。10分ほどで来てくれたものの、東京から尾道に行くなら、福山まで新幹線のぞみ、それから山陽本線で尾道駅が正解だと思い知った。

唯一正解だったのは、引退が近いといわれている700系レールスターに岡山から乗れたことだ。こだまで1日1本だけの運行らしいから、レールスターに当たったのは幸運だった。シートが広くてとても快適だ。山陽新幹線、ありがとう。

タクシーで尾道駅へ。今日の宿は尾道駅前の「グリーンヒルホテル尾道」。尾道市街と明日の移動を考えて、もっともアクセスの良いホテルを選んだ。部屋から見えるのは向島。眺めも最高。

昼食は、

尾道ラーメン。ネットでいろいろと調べたのですが、とにかくたくさんあります。そのため、尾道初心者としては、王道、老舗からと思い、「つたふじ本店」に決めました。創業74年、尾道ラーメンの元祖と呼ばれる名店だそうです。ご夫婦で営業、ご高齢、ご体調の点から、現在は11時から13時の2時間の営業のみ。貴重なラーメンだ。店構えからも絶メシ感が漂っている。到着した11時半にはすでに行列が。

50分ほど並んで、中華そばの大盛をいただきました。店内は8席ほどのカウンターのみ。見上げると小型のブラウン管テレビが昼のニュースを流している。魚介系の醤油味に、粒の大きい背脂、青ネギ。あっさりでも、こってりでもない、絶妙なスープと細麺。とても美味しかった。いつかまた食べたいので、ずっといつまでも営業してほしい。

千光寺

ロープウェイに乗って千光寺へ。テレビ番組の旅物で何度も見た景色だ。さりとて、期待どおりの絶景だった。瀬戸内海の島々、しまなみ海道が見える。

ところで、尾道と聞いて連想するのは、大林宣彦監督の映画、尾道三部作ですね。歳がバレますね。「転校生(1982年)」「時をかける少女(1983年)」「さびしんぼう(1985年)」。小林聡美さんも、尾美としのりさんも、原田知世さんも、富田靖子さんも今も変わらず活躍されていますね。

ロケ地

転校生、転がり落ちる階段は御袖天満宮。そう、ここです。こんな長い階段だったんだ。

時をかける少女、原田知世がタイムスリップした場所、金山彦神社。

夕食は、

保広。寿司、海鮮の人気店を予約していました。ホテルから歩いて10分ほど。地魚の握り、ハモ、虎魚の唐揚げ、あら汁、どれも美味しかった。人気のとおりだった。

二日目: 宮島へ

朝のグリーンヒルホテル尾道からの眺め。おはようございます。

陸路、宮島口へ

尾道駅から山陽本線で三原駅へ、時間節約のため、三原駅で新幹線こだまに乗り換えます。広島駅でもう一回乗り換え、再び山陽本線に戻って来ました。岩国行きに乗り、宮島口に到着しました。尾道駅発から、1時間と45分。広島県はその名のとおり、とても広いですね。

三原駅で待っていたのは、500系新幹線。500系も引退が近いといわれ、こだまでの運行のみ。自身初めての500系、やっぱりかっこいい。ビジュアルで500系を超える新幹線は未だ出てこない。

今日の宿は「グランヴィリオホテル宮島-和蔵」。広島市内に繰り出すには少々遠いですが、温泉もあり、宮島、厳島神社を拝める景色と聞いて決めました。

早速、宮島へ

宮島口からフェリーに乗ります。

一度は来たかった、厳島神社。海に浮かぶ大鳥居は見事。

ふじたや、あなごめし。

穴子飯の人気店。熱々のどんぶりで有名だ。味も良かった。ご馳走様でした。

夕食は、お好み焼き、八昌

本場のお好み焼きを食べることがこの旅の目的の一つでした。宮島口に宿泊していたので、比較的近い、西広島駅の八昌さんに決めました。

そばのカリカリ感ともっちり感。ソースは甘過ぎない。やっぱり本場のお好み焼きは美味しかった。最高でした。

三日目: 広島市内へ

朝の部屋からの眺め。遠くに厳島神社が見える。神秘的だ。グランヴィリオホテル宮島-和蔵、シンプルだが、お手頃で良いホテルでした。温泉と湯上がりに無料で生ビールが飲めるのも嬉しい。朝食も美味しかった。

しかし、もう一度、宮島へ

朝、干潮時の大鳥居を目指す。近くで見てみたかった。

巨大だ。直径1メートル以上ある柱の中は空洞になっていて、全部で4トンの小石が詰まっているらしい。そう、この大鳥居は自らの重さだけで立っているだけだという。重過ぎて絶対に流されないのだというが、沈みもしないし、傾きもしないのは不思議だ。

広島市内へ

広電に乗って広島市内へ。平和記念公園に到着。原爆で何も無くなったとはいえ、この場所はかつて繁華街だったという。戦後間も無く、この場所をこれだけの公園に変えた広島市民には頭が下がる。

原爆ドームへ。この真上、600mで原爆が爆発した。粉々になり、わずかに残った煉瓦の壁とドームの骨組み。近くで見ると奇跡的に残ったものだということがよく分かる。よく見ると保存工事の努力もよく分かる。僕は漫画「はだしのゲン」を読んだ世代。残酷な悲劇をまともに描いた傑作だ。近年、教育現場で使われなくなったと聞くが、残念だ。戦争の無い世の中は幻なのだろうか、しかし、諦めずに平和を祈る。

同じく原爆で吹き飛ばされた広島城、コンクリート製の再建だが、天守閣からの眺めは良かった。木造で再建された二の丸は素晴らしく、訪ねる価値がある。

この旅最後の夕食は、

小魚料理・とみ助。カウンターだけの店内。ここも人気店で、ひと月ほど前に予約済みだ。

地魚の刺身、きんきの塩焼き、鯵フライ、鯛頭の荒だき、うなぎの肝串、うにめし、広島の地酒。どれも絶品でした。お値段からは少々贅沢をしましたが、味はそれ以上。いつかまた来たいお店です。

一つ残念だったのが、新鮮な牡蠣にありつかなかったこと。今年の夏の猛暑、海水温の上昇で、11月というのに広島の牡蠣が水揚げされていないのだとか。冬に再訪したい。

宿泊は今夜も、

グランヴィリオホテル宮島-和蔵。翌朝、部屋からの眺めは少し雲が多かった。今日は午後から天気が怪しいようだ。

最終日: 岩国・錦帯橋へ

山口県東端に位置する岩国。広島県西端の宮島からは目の鼻の先だ。ここまで来たら、ぜひ錦帯橋に行ってみたい。宮島口から山陽本線で岩国へ。たった20分強で着いた。錦帯橋はここからバスで10分ほどだ。錦帯橋は日本三奇橋の一つ。自身、山梨県大月の猿橋、徳島県祖谷のかずら橋に続く三番目、三奇橋を制覇する。

三奇橋、錦帯橋と猿橋、かずら橋に共通するのは、橋としての構造、その特殊性だ。錦帯橋は1673年の創建以来、数度の架け替えが行われたが、まったく変わらない木造のアーチ構造を今に残す。複雑な構造と美しい形状がその特徴だ。しかし、三奇橋、それぞれの橋の間には違いも多い。明らかに違うのはそのスケールだ。錦帯橋の壮大さは群を抜いており、圧巻だ。

錦帯橋を渡ると岩国城が山の頂に建つ。ここからの眺めも素晴らしい。

岩国城に登った頃から曇り空だったが、何とか天気に恵まれた。

寿栄広食堂

お腹が空いた。この旅最後の食事は岩国駅前の寿栄広食堂の中華そば。ラーメンで始まり、ラーメンで終わることとなった。この店はテレビ番組、バナナマンのせっかくグルメで紹介された店だ。放送も覚えている。

昭和の趣き漂う店内が印象的だ。入り口すぐのところで注文と前払いを済ます。店員は奥の厨房にマイクで注文を伝えるとともに、赤いプラスチック製の食券を手渡してくれる。そして席について待つ。一連の流れが特徴的だ。

中華そば、ネギ追加。あっさり醤油味に背脂。絶品でした。尾道ラーメンに近い味だ。ご馳走様でした。

帰りは空路、羽田へ

ついに夕方から雨が降り出した。タクシーで岩国錦帯橋空港へ。米軍海兵隊の岩国基地との併用空港だ。とくに宮島からは広島駅、広島空港よりもはるかにアクセスが良い。岩国駅からもタクシーで5分くらい。19:30岩国空港発、21:00羽田着、ANA640便。岩国空港はとても便利な空港だ。楽しかった3泊4日の旅はあっという間に終わりました。

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