旅の空から#6 秋/長崎・五島編

空路、長崎へ

3度目の長崎。最初は高校の修学旅行だった。約40年前だ。次は仕事で長崎大学に立ち寄った。20年くらい前のことだ。さて、今度は妻とのふたり旅。妻とは同じ高校だ。つまり、同じ修学旅行に参加していたのだが、当時はまだ知り合っていなかったから、ふたりで訪れるのは初めてだ。懐かしい街並だけではなく、軍艦島、五島・福江島への初上陸も目指す。季節外れの台風26号が台湾上空で東に進路を変えそうだとウェザーニュースが伝えている。不安を抱えつつ、羽田を発つ。

長崎は、

晴れていた。台風は台湾、八重山諸島に強雨をもたらしたが、九州にまで影響しなかった。良かった、この旅はついている。二季という言葉が生まれたらしいが、最近は夏が終わったら急に寒くなる。しかし、東京と比べて、長崎は寒くない。そうだ、長崎にはちゃんと秋があった。

定番の長崎観光、出島、グラバー園

40年前、修学旅行で訪れたことははっきりと覚えているが、こんなところだったかな。もっと坂を登ったような記憶があったが。港を見下ろす景色はきれいだし、何よりグラバー住宅のデザインは今も素敵だ。しかし、グラバー家の数奇な歴史は高校生の僕らには伝わっていなかったか、すっかり覚えていなかったのか。

軍艦島へ

この旅の大きな目的の一つ。端島、通称「軍艦島」へ。初上陸を目指す。出航してから30分ほど。見えた。本当に軍艦のようだ。胸が高鳴る。

長崎市の条例で、波の高さが基準を超えると上陸出来ないと散々アナウンスがあったが、好天に恵まれて、いよいよ上陸だ。

廃墟。当たり前だが、見事な廃墟だ。コンクリートの建造物はどれも50年以上風雨にさらされて、ことごとく朽ちている。端島に来たかった理由はドラマ、「海に眠るダイアモンド」の影響だ。戦後の高度成長を牽引した、活気が溢れた炭鉱の島、昭和の端島が見事に描かれている。目の前の端島は同じ端島だ。一方、僕が生まれ住んでいる街は今も変わり続けている。僕の家もそうだ。生まれ育った昭和の家はとっくに建て替えてしまった。しかし、端島は違う、朽ちてはいくが、変わっていないようにも見えた。廃墟はいつまでも永遠に。

長崎定番グルメ

長崎市内で食事をするならどこだろうか。やっぱり、これぞ定番か。短い旅で絶対に外したくない僕は必ず定番の店を選ぶ。今度もそうだ。

長崎ちゃんぽん・四海樓

ちゃんぽん発祥の店。いままで食べていたちゃんぽんとはスープが違った。とんこつの旨みが強い。美味しかった。5階の店内からの眺めも最高だった。

卓袱料理・花月

卓袱(しっぽく)料理って何だ。和洋中の折衷懐石料理らしいが、全体には和の趣きだ。どれも美味しかったが、この店の魅力は何といっても史跡料亭とうたうほどの建築だ。創業382年、江戸時代から続いた遊郭の建物がそのまま使われている。必見の価値がある。

新地中華街・会楽園

皿うどんの名店。新地中華街の入り口に店を構える老舗。皿うどんのほか、炒め物も、蒸し物も、どれも美味しかった。中華料理店として近所に欲しい店といったところか。

トルコライス・ツル茶ん

トルコライスって何だ。長崎名物だというので食べてみた。店は九州最古の喫茶店といわれる、ツル茶ん。どうやら、長崎港の別名、鶴の港から来ている名前のようだが、ほぼ原形をとどめていない。店によっていくらか違うようだが、この老舗の定番トルコライスは、トンカツ、カレー、ナポリタン、ピラフが載ったワンプレート。予想どおりの味といっていいが、確かに美味しい。リピートするかは分からない。

佐世保バーガー・LOG KIT

おまけとして。佐世保には行っていないので。佐世保バーガーの人気店が長崎空港に出店していたので、食べてみた。ボリュームがすごい、一つで十分。味、いいです。とても美味しかった。肉も、ソースも。焦げ目がつくほどしっかり焼いたバンズも個性的。横須賀のハンバーガーはとくに美味いとは思わなかったが、これは美味しかった。また食べたい。長崎グルメ、これでコンプリート。

海路、五島列島・福江島へ

ジェットフォイルで福江島へ。五島に行くのはこれが初めてだ。時速80km、普通の客船の倍くらい速いから、デカいモーターボートといったところだ。しかし、船体が大きいせいか、ほとんど揺れないし、体感スピードは40kmくらいだ。約一時間半で福江港に上陸。飛行機よりも快適だ。

福江港からはレンタカー。

最初に立ち寄ったのは、ドラマ「ばらかもん」の舞台、上崎山町の漁港。良いドラマだったな。本物の防波堤からの景色はとても美しい。来て良かった。

島の西端、大瀬崎灯台。東シナ海に臨む断崖に立つ。

島北部、美しい高浜ビーチ。

北東の岬、小さいが、厳かな佇まい。堂崎教会。

カラリト五島列島

部屋もサービスもとてもカジュアルだが、部屋からのオーシャンビューが素晴らしい。和の朝食、メキシカンの夕食は地元食材を使った、とても丁寧なお料理で、ギャップに驚く。全部美味しかった。ここにして良かった。

福江グルメ

その他も満足、ここは美味しい島。福江島の凄さは食材の豊かさだ。魚介はもちろん、豚肉も牛肉もブランドものが生産されている。小麦もできるから、有名な五島うどんにもなるし、麦焼酎もあった。さつまいももつくるから、芋焼酎もあるので美味しくいただいた。鹿児島などと違って、米も出来る。養鶏だってある。こんな豊かな島がほかにあるだろうか。

おっどん亭

五島うどんの人気店。製麺所による直営。定番の地獄炊きうどんはシンプルでうまい。あごだしが最高。乾麺の直売所でもある。もちろん購入した。

椿茶屋

囲炉裏で地元の魚介をいただく。五島の牛肉、豚肉も。五島の芋焼酎とともに。どれも美味しい、大満足。完全予約制のレストラン。眺めも素晴らしい。福江島に来たら、絶対に訪れるべき店だ。

夕陽とともに。時間が止まってほしい。

海路、空路、長崎から羽田へ

4泊5日の旅はあっという間に終わった。妻もとても楽しそうだった。お土産にカステラをたくさん買っていた。有名店のカステラを食べ比べるつもりではりきっている。行列必至の岩永梅寿軒のカステラを早起きして一人で買ってきた。食への執着というべきか、かわいいところでもある。お疲れ様でした。

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