愛読書が読めません

愛読書はありますか、

と問われたら、迷うことなくこの一冊。司馬遼太郎著、「燃えよ剣」だ。新選組副長、土方歳三の短い生涯をカッコよく描いた傑作だ。
何度も繰り返し読んでいるので、これが愛読書というやつか、と思っている。たぶん、6回かな、ちゃんと覚えていない。7回かもしれない。なぜだかわからないが、数年おき、5年とか、6年おきにまた読みたくなる。
飽きっぽい性格のせいか、読書はするが、二度以上読んだ本は他に無い。
最初に読んだときは大学生、20歳くらいだった。登場する歳三よりも若かった。いまは55歳。34歳で散った歳三よりも21も歳をとってしまった。

新選組

幕末の京都で全盛期を誇った新選組副長、土方歳三。鳥羽伏見の戦いから敗走を続ける。甲州、流山、宇都宮、会津、東北での歴戦、そして、函館での最期。ただの判官贔屓ではなく、歳三の生き方は、憧れても、到底真似できない。信念を貫く、サラリーマンのぼくでも共感する。自分の取り柄はこれだから、これで生きてくしかないと。歳三はそれを性分という。ぼくも、性分だから仕方ない、と思って仕事をしているが、思いどおりにならないことのほうが多い。
局長の近藤勇と副長の土方歳三。幼なじみの二人の関係が小説にも描かれている。二人の性格、人物はまったく違う。近藤は天才だと思う、天真爛漫、英雄。歳三は考え抜いて自分を作っていく、努力の戦略家、稀代の軍師。人物を描いた小説の中では群を抜いているのではないか。でも、

字が小さすぎて読めない! 

前回読んだのは5年か6年前だが、こんなに字小さかったっけ。文庫本を愛用しているが、年季の入ったぼくの本は字がとても小さい。今の本とは全然違う。さらに、30年もすると、紙が日に焼けるというか、黄ばむでもない、とにかく茶色く変色、まあ、とにかく読みづらい。わたしの視力ではもう読めない。限界だ。愛車も老いましたが、愛読書も老い、そして、わたしも老いました。

仕方がないので、買い直しました。

買ってよかった。二代目はページが白くてとても読みやすい。何より字が大きい。ジジイに優しい。また若い歳三の人生を読もう。
それでも、老眼鏡も必要です。ぼくはリーディンググラスと呼んでいますが、みんなは老眼鏡といいます。もうちょっと良い日本語はないものでしょうか。

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