カングーとともに#1

カングーとともに19年編:

ルノーといえば、

80年代の5(サンク)、21(パンティアン)を最初に思い出す。小型、中型で、高級車のジャンルではなくて、シトロエンと並んで、フランスでは庶民的なクルマなんだろうな、という印象だった。フランスを代表するメーカーということで、乗用車からワゴン、大型の商用車までなんでも造っているメーカーだ。カングーも、1997年にフランスでデビューしたフルゴネットとよばれるカテゴリー、つまり小型の商用車。これをベースに乗用車版、ミニMPVですよ、という売り方もしている。それでも、オリジンは商用車であることは間違いない。全長はたった3.995m、でも高さは1.81mもあるので、背の高い荷物も積載可能、両側スライドドアで配達にも使いやすそうだ。

わたしがカングーと出会ったのは、2000年の10月でした。場所はドイツ、シュツットガルトに仕事でいったとき。

フランス車だけれど、ドイツでも当たり前のようにたくさん走っていた。印象的なのは、走っている姿より、店舗の前に停まっていた配達車カングー達だ、パン屋さんとかクリーニング屋とか。

高校生のころ、

最寄りの駅に向かう通り道、お店の前にいつもルノーエキスプレスが停まってた。そう、ルノーもいろいろあります。

今もあるそのお店は、当時はカフェバーと呼ばれていた。カフェバーって、知っている人は年齢がばれますね。郊外のカフェバー、近所では一番おしゃれなところだった。当時はまだ路上駐車に寛容だったのだろうか、ルノーエキスプレスはお店のエクステリアの一部だった。かっこいい、でもバンだよね、機能的で洗練されたデザインというか、荷物を運ぶクルマなのに、こんなにかっこよく造るんだな、と思った。なんていうクルマだろう、当時はGoogleなんてないので、どうやって調べたのか覚えていないのだが、それがルノーエキスプレスという名前だとたどり着いた。いいな、欲しいな、って。免許もお金も無かったけれど。

(見たことがない方はこちら) https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ルノー・エクスプレス

仕事で訪れたドイツ、

目に入ってきたカングーが、あのルノーエキスプレスの後継車だと気づくのにそれほど時間はかからなかった。あっ、これって。荷物を運ぶクルマ、でも、かっこいい。かっこいいけれど、とてもかわいい、あのエキスプレスが生まれ変わったんだと。あのときは3ヶ月滞在していたので、ほんとうにカングーはよく見かけた。

2002年、

カングーの正規輸入が始った。ついに日本にやって来た。

当時は仕事が忙しかったせいか、そうだカングーを買おう、となったときには、年が明けて2003年秋になっていた。そう、カングーはマイナーチェンジしてしまいました。ちょっと変わってしまったのだ。とくにフロントマスク、クルマは顔が大事だ、わたしには。どうしてもあのドイツで出会ったカングーが欲しかったので、あわてて中古車を探し、そして、やっと手に入れたのが、2003年式カングー、型式はGF-KCK7J。そう、マイナーチェンジ直前の生産車だ。排気量1.4L、色はオーシャングリーン。この色はディーラーの期待に反してほとんど売れなかったそうだ。今は、初代カングー前期型と呼ばれている、我が家のカングーだ。後期型じゃなくて、こっちの方が断然いい。古さというか、ちょっとクラッシック、機能的ならいいじゃない、っていうデザインが好きだ。バンパーは黒くていいじゃない、ウィンカーライトはオレンジがいいじゃない、ってこと。

若いカングーは我が家のアイドルだった。子供たちも大好き。小さいけれど、キャンプ道具が全部載る。荷物を運ぶ、かっこよくて、かわいいクルマ。

子供たちはすっかり成長して、今は助手席に奥さんだけ。それでも、週末の買い物、たまのドライブとキャンプは今も変わらない。我が家のベテランだ。ところどころ老いは隠せないが、それはお互い様だ。エンジンは調子よく、よく走ってくれる。

突然ですが、

カングーのかっこいいところ、

第6位、車内上部の収納箱、唯一無二。

第5位、最近の車にないようだが、フルサイズのスペアタイヤがお尻に積んであること。

第4位、スピードメーター。カングーは頑張っても100kmくらいしか出ないが、250kmまで目盛りが切られている。さすが、ヨーロッパ車。

第3位、給油口はキーで開ける、ガソリンスタンドがセルフじゃない頃は、キーを抜いてお兄ちゃんに渡していた、かっこいい。

第2位、クラクションのボタンがハンドルのウィンカーレバーの頭についてる。中指で、ノーモーションでクラクションを鳴らすことができる、これはフランス人にとって大事なのだろう。これもかっこいい。ほとんど鳴らしたことはないけれど。

第1位、これも初代だけのかっこよさ、ボンネットを開けるときは前に倒す、使いにくいけど、やっぱりこっちのほうがかっこいい。

カングー、いつまでも一緒にいたいね。

最後に、

カングー初代前期型の日本での正規輸入販売は2003年7月までの1年半足らず、日本での販売数は1,000台に満たないのではないか。そこからすでに販売終了からずいぶん年月が経つ。すっかり旧車、さらに希少車になりつつある。初代でも後期型はいまでもたまに見かけるが、前期型はまったく見かけない。中古車の流通もかなり減ってきているようだ。実は昨年追突事故にあってしまい、後部ドアが破損、でも幸い交換出来て、元通りになった。市場にパーツとして残っていたようだ、助かった。この先も事故が心配だ。例えばヘッドライトとか割れたらどうしよう、とか。よく、テレビの旧車番組で見るのは、部品を買いだめしている方々。強者だ。カングーにも必要なのかな。強みは輸入すればある、ということかなと思ってはいるが、コストはかかるでしょうね。カングーといつまで過ごすのか、どこまで出来るのか、もう少しゆっくり考えたい。

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